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良い夢を

  • 執筆者の写真: albusgalaxias
    albusgalaxias
  • 4月7日
  • 読了時間: 1分

「すーすー(寝息)……ん、んん?(起きる)」

「ん……旦那様……むにゃ」

「ん? ……寝言か。私の夢を見ているのかな?」

「ほら、おいで。私の腕の中で、私の夢を見てね」

「ん……、旦那様……んん……」

「どんな夢を見ているんだ?」

「……っ、は! はぁ、はぁ……、あ、旦那様?」

「あ、ごめん。起こしちゃったか」

「今のは、夢……」

「どうしたの? 悪い夢だった?」

「いいえ、違うんです!」

「霧月?」

「違うんです。……とても、良い夢」

「え?」

「とても良い夢でした……。夢だったなんて、ちょっと悲しくなるほど、良い夢で……」

「……そうだったんだね」

「はい……」

「私は、霧月の夢の中に居た?」

「はい。傍に居てくださいました」

「どうしていた?」

「そ、その……」

「ん?」

「抱きしめて、深く愛しんでくださいました……」

「……。……それは途中で起こしてしまって、悪かったね」

「旦那様……」

「じゃあ、私に夢の続きをさせて」

「え……」

「さあ、手を出して、指を絡めて……」

「くちづけ、させて。夢のように甘く、優しく……」

「はい……」

ん……

 
 
 

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