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執筆者の写真albusgalaxias

ある日の興月夫婦

「あ、あの、旦那様」

「どうした、霧月?」

「実は……話さないといけないことがあって」

「私に? 何だい?」

「……聞いても怒らないでくださいますか?」

「んー、それは内容による」

「っ! やっぱり何でもないです!」

「霧月、逆に気になるじゃないか。言ってごらん」

「えっと、えっと……」

「早く言わないと、襲い掛かって、口を割らせるよ?」

「その、昨夜……」

「うん」

「眠っている旦那様の唇に触れて……」

「え?」

「あまりに滑らかで気持ち良かったから……」

「……」

「ちょっとだけ、唇を吸ったんです……!」

「お前から私に、接吻したの?」

「ちょっとだけです!」

「ふーん、私が眠っている間に……」

「ご、ごめんなさい」

「美味しかった?」

「……はい」

「私が眠っている間にお前に襲われるなんて」

「ごめんなさいっ! もうしません!」

「フフ、かわいいね」

「旦那様」

「でも私はその時気づかずに、いい思いをしてないから、今から返してもらおうかな」

「あっ……」

「ほら、顔、こっちに向けて。ん……」

「っふ、く……」

「……」

「ん……」

「……」

「んん……」

「……」

「んー! んんー!! んんーーッ!!!」

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