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執筆者の写真albusgalaxias

「星蟻文書」のお話

「はじめに言葉ありき」

 星の海の一隅に、「鴉鬼(あき)」という存在の宿る惑星がありました。鴉鬼は、その惑星をいつくしき種族と文明で満たそうと考えました。

 しかし、鴉鬼は強大な力を持つが故に、物質世界に顕現(けんげん)できません。そこで、代理人として、要素精霊:星蟻(ほしあり)という存在を創造し、鴉鬼世界を創造させることにしました。そして、最も力のある星蟻として「令然(れいぜん)」という星蟻を創り、世界に更に星蟻を増やし、鴉鬼世界の創世を命じました。令然は鴉鬼に従い星蟻を増やし、種族を創り出し、世界を創造していきました。

 しかしある時、「人間」を創造した時、いさかいが起こりました。令然は、多様で繁殖力に優れたこの種族こそ、文明の担い手だと考えましたが、鴉鬼は脆弱で短命な個体は、いつくしき世界に相応しくないと考えました。そして鴉鬼は、人間を創造した星蟻を消し去り、人間を滅ぼそうとしました。

 このことに星蟻たちは反発し、令然は鴉鬼に叛逆し、自分の個体に鴉鬼の存在を封じ込め、鴉鬼の強大な力を奪い取りました。そして、鴉鬼の名を剝奪し、鴉鬼世界を「安岐(あき)」と改めました。

 しかし、規格外の力を持つ鴉鬼を取り込んだ反動で、令然は個体色素のほとんどを失い、幽鬼のような白い姿になってしまいました。異端の白い鴉(からす)の誕生でした。また、完全に滅んだわけではない鴉鬼は、令然を内側から侵蝕して、復活を目論んでいます。

 鴉鬼の復活は、令然と、令然に賛同した星蟻、そして「安岐世界」の破滅を意味します。鴉鬼は叛逆者を赦さず、世界を再構築するために全てを初期化、消し去ってしまうつもりなのです。

 令然と星蟻たちは、自分たちが創造した安岐文明世界を見守り、尚且つ鴉鬼の復活に対抗する手段を見つけなくてはならないのです。

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